一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

29.一級建築士学科試験対策『やってはいけないあるある三点セット』

 80点前後をうろうろしている場合ではないのである。これを90点に近づけるための独学独自戦略を検討しなければならない。
 ここで、私が取ることが可能な選択肢の一つは、資格学校に通うことである。そして資格学校が指示する通りに学習を続ければ、おそらく合格は間違いない。
 もう一つの選択肢は、自らが初出問題対策を立てることだ。この方法はなかなか難しそうである。一つの方法としては、資格学校が実施する模擬試験を受けまくることである。そして、模擬試験の初出問題を徹底的に研究するのである。この方法については前回説明した通りのなのだ。
 しかし、これでは足りないかもしれない。実は、こういった裏話をとあるセミナーで聞くことができた。敵を知らずして勝つことはできない。前回の記事で説明の通り、独学者の敵は組織的学習者なのである。独学者の皆さんにはぜひともこれから述べることを肝に銘じてほしいのだ。
 
 さて、これまでの建築士独学散歩道の道程の中で、私にもたらされた『やってはいけないあるある三点セット』を紹介しておく。
 
1.過去問を徹底理解すれば学科に合格できる
 一級建築士試験の難易度が2005年を境にして急激に高くなったことにより、この思い込みは誤りとなった。2005年になにがあったか。おそらく多くの方が気づく通り、「構造計算書偽造問題(いわゆる姉歯事件)」である。この事件を境として、建築士の地位に疑問符が付くようになり、国交省がその疑問にこたえるべく、建築士試験の見直しを開始した。そして、2009年(H21年)に試験の骨格が大幅に変更になったのである。つまり4科目合計100点から5科目合計125点に変更となったのだ。

 したがって、2005年以前に建築士資格に合格した諸先輩方は「過去問をやっていればなんとか合格できる」などと言うのだが、もはや現在においては、これは全くの間違いである。「過去問だけで」というこの言葉を真に受けてこれから独学で一級建築士資格を受験しようとする皆さん、過去問学習だけでは合格は困難であることをまずは肝に銘じてほしい。
 
2.法規は法令集を持ち込み可能だから満点を視野に入れる
 これも2009年に試験の骨格が変わったことで、誤った解釈となっている。というのも、以前は計画と法規は同時に実施され、所要時間が3時間(180分)に設定されていた。そのため、計画を早く終わらせて、法規に十分な時間をかけることが可能であったのだ。しかし、現在は法規が独立して105分という時間内で回答しなければならない。
資格学校の講師がよく口にするのは「法規は時間との勝負」なのである。つまり悠長に法令集のページをパラパラめくる余裕はない。とにかく解き方に工夫が必要になる。ということは、学習方法も他の科目とは一味違った対策が必要になるのだ。
 法規は一見暗記に重点を置くことが正解に思える。しかし、法規こそが解き方のコツを要求されるのだ。まずは長文が多い文章の読解力を高めることである。読解力を高めるには、とにかく問題を読み込み文章を読み解くパターンに慣れることである。特定の文章に対する読解力というのは一度体得することで長期間維持できるのだ。
 そして、初出問題のヤマを当てやすいのも法規である。このヤマの部分(改正法令からの出題)はおそらく資格学校でなければなかなか得難い情報なのである。したがって、独学者は法規に時間をかけてあの手この手で情報を集める必要があるだろう。独学者が合格する一つの武器は、法規をプロアクティブに攻略することに他ならない。
 
3.まずは学科に合格すること、製図試験はその後考える
 一級建築士資格を取得するなら、製図試験があることを忘れてはならない。そして、学科に合格と同時に、その知識を製図試験でも試されると考える必要があるのだ。最近の製図試験の傾向として記述問題が増えている。この記述問題には学科試験で必要とされる知識を活用する必要があるのだ。これは実は当然のことなのである。そもそも学科試験に必要な知識は設計に必要な知識であり、その証明のための製図試験なのである。
 今回、講師がトピックとして話してくれたのは、ある製図試験におけるトラップであった。その製図試験では、「主要構造部を維持して、新たな動線計画を立てよ」との設問があったそうだ。多くの受験者は2階の床をぶち抜いて階段を設置する計画を作成し、不合格となったらしい。ここで主要構造部には1階以外の床が含まれることを知っていなければならない。最近の製図試験では、このようなトラップが仕掛けられていることが多いという。
 そして、学科合格から製図試験までは3か月しかないのである。この期間に建築法規の知識を再度獲得するのは難しい。だからこそ、学科試験では合計110点を目指す必要があるという。実施に、110点オーバーの受験者は製図試験に受かる確率が2倍になるらしい。
 
 この様に、資格学校が勧誘の糸口とする無料講義には独学者にとって実にありがたい情報が満載なのである。資格学校の営業マンから勧誘を受けてもきちんと説明すれば執拗に入学を迫ったりはしないのである。であるから、これから独学で建築士資格を獲得しようとする諸氏は、彼らを遠ざけることなく、できる限り情報を取得するべきなのである。
 
 さて、件の講義に出席したことで、むしろ私は来年度に向けての戦略を立てることが可能になったのである。次回の記事ではその戦略をまとめて紹介したいと思うのである。

28.独学ギャップの現実とは

 独学とは何か。それはつまり、一人で学ぶことであり、その反意後は「組織的学習」なのである。この時、独学者が組織的学習者に対して最も不利な点とは、実際に受験をするまで自分が全体の序列のどの辺にいるのかが不明となる点であろう。それはある意味、見えない敵と戦っているようなものである。
 しかし、これはあまり一般的な話とはいいがたい。なぜなら、これまで私が取得した資格においては、過去問題集でおおむね合格点が獲得できていれば、本番の試験においても合格が可能であったからだ。その例としては、ビジネス実務法務やファシリティマネジャーなどの資格試験があげられる。これらの試験は民間資格に近いこともあり、ハードルが低く特に対策をすることもなく、ある程度の学習量をこなせば合格可能なのである。つまり独学者と組織的学習者が互角に戦える民主的資格といってよい。
 
 さて、一級建築士の学科試験については、今回の3回目の受験結果をみて、前回のブログ記事でも大いに反省の弁を述べそして対策を披露したのであるが、も少しばかり詳しい事情を説明したい。その事情とは、本試験前に受けた模擬試験と、そして本試験対策講座についてである。
 
1.模擬試験の受験方法
 
 一級建築士模擬試験は独学者が自らの学習成果を可視化し、そして対策を練るために必要なのである。もう一つの必要性について述べるなら、それは初出問題への対策である。一級建築士学科試験は毎年40%近くが初出問題であるといわており、過去問に対する回答率をいくら高めても合格ラインには到達しない。つまり、過去問集を何冊こなそうとも、そしてその正答率を100%にしたとしても、合格できないのだ。ここが通常の学科試験とは大きく違うところである。
 模試の申し込みは私の場合は「日建学院」か「総合資格学院」で実施している。ネットで申し込めるので手間はいらない。どちらも費用は1回5千円(税抜き)である。
 大方の模試は会場で受験する方法と、自宅で受験する方法を選択できる。複数の模試を受験するのであれば少なくとも1回は会場での受験を選択するべきだろう。やはり予行演習として一度は本試験と同じ環境で受験したほうが、例えば体調の調整や昼食の取り方などを検討できてよいと思う。同時に、資格学校の様子を確認することで、組織的受験者がどのような体制で受験に臨んでいるかを知ることができる。教室の壁には「必ず見直しをしよう」とか「過去問は100%解けるようにしよう」などとの張り紙があり、その意気込みがわかるのだ。敵を見て矢を矧ぐようでは、到底合格は危ういのである。
 
2.無料講義を受講する
 
 模試を受験すると、それぞれの資格学校からメールが送られてくる。今年度は総合資格学院から「1級建築士本試験直前10点UP無料講義」のお誘いがあったので受けてみた。開講時間は19時から21時までの2時間である。会場には約12名ほどが来場していた。いずれも独学者であるようだ。どうも講師の話を聞いていると、講師自身も独学で受験したようである。同じ境遇の体験者が語るのだからありがたい話である。
 資格学校側の利益はこの場合製図試験の受講者の獲得である。講義の冒頭で製図試験は独学では難しいと散々脅される。合格後すぐに製図試験対策に取り掛かる必要がある。そして、総合資格に申し込むなら合格後すぐに定員オーバーになるから早く応募しなければならない。つまりそういうことである。
 講義の内容は、本試験会場で資格学校が路上配布する「直前対策小冊子」に基づき行われた。毎年思うのだが、この直前問題集は総合資格のほうが日建学院よりもよくできている。さてその解説で特に強調していた内容を簡単に説明する。
  1. 基本的に落とすための試験なので問題文にはトラップが仕掛けられている。このトラップを見抜く力を養う。
  2. 法規と構造は初出問題が少なく範囲もある程度限定されるので、この2科目で50点を目指す。
  3. 法規と構造、構造と施工は同じ内容の設問が出やすい。したがって、構造や施工の数値に関する出題を覚えると得点力を効果的に高めることができる。例えば構造設計やコンクリート養生期間など。
  4. 直近の法規改正部分はその年度に出題される可能性が高い。
  5. 一級建築士学科試験は毎年40%から50%が初出の出題となる。過去問だけでなく建築業界の事情や新しい技術知識を常に取り込む努力を要する。
  6. 製図試験は学科試験よりさらに難しい。最初は10時間かかる製図を2時間でこなせるようにならなければならない。
  7. 学科試験の知識は製図試験でも問われる。学科試験で高得点を取ったものは製図試験の合格率が高い。
  8. 年々、一級建築士試験は難しくなっている。早く合格することが必要。
 挑戦はまだまだ続く。このブログ記事を書いていると、来年度は学科に合格できそうな気がしてきたから不思議なのである。

27.今年で3回目の受験、またまた点数あがらず

 本日は一級建築士の受験日である。小職はこれで3回の受験となる。いつものように、受験後にWebの採点サービスに申し込んだ。今年は総合資格学院の採点サービスである。
 結果は以下の通りであった。
 
● 学科I  :13点
● 学科II :13点
● 学科III:18点
● 学科IV :22点
● 学科V :17点
● 総得点 :83点
 
 なんと、点数が昨年度とほとんど変わらないのである。そして、やはり法規の点数が低い。今年は法規についてはずいぶんと頑張ったつもりだったのだが…
学習法に問題があるのか、あるいは、はやり資格学校に通う必要があるということなのだろうか。
 
 さて、3回目の受験で昨年度までと変えたのは積極的に模試を受けることであった。今年は3つ模試を受けたのだが、それだけでは足りないようである。この模試の点数がそれなりに振るわないと、やはり本番試験での合格点獲得は難しいのだ。実は、3回受けた模試の点数はどれも70点台であった。
 
 次年度の受験に向けた対策を考えた。まず、目標を手前に設定し、ある程度合格点を取れるレベルを維持できるようにしようと思う。そのために、二つの目標を設定することにした。


 一つの目標は、模擬試験も含めた過去問については90%の理解をすることである。具体的には「選択肢正誤判定学習法」により、90%の正答率の獲得を目指すことである。この「選択肢正誤判定学習法」については、この記事を参照してほしい。

19.どうやって資格学校生に勝つか『選択肢正誤判定学習法』

 

 二つ目の目標は、模擬試験で総合点90点を獲得することである。1回目の模擬試験は大体6月くらいに開始されるので、それまでに一つの目の目標を達成した状態にするのである。
 
 おそらく、この2つの目標を、実際の試験前に達成することで合格が可能となるはずである。12月には来年度の受験勉強に取りかかろうと思う。そして、それまでの間は少しのんびりするのである。

26.模擬試験を受験してきました

 本日は日建学院の模擬試験があったので受験してみた。実はこれで2回目の模試受験である。前回は総合資格学院の模擬試験であった。結果はどちらも惨憺たるものだ。どちらも法規の点数が上がらないのである。法規はまさに鬼門。問題文章がやたらと長い。意味が不明確。時間がない。の三重苦なのである。
 そして今回も法規だけは基準点を満たせなかった。模試とはいえこれは致命的なのだ。他の科目は平均点をやや上回るのだが、法規だけは4ポイントも低くなっている。これはどういう差があるということなのだろうか。
 とにかく、本試験まであと2週間なのである。とにかくこの短期間にどうやって法規の得点力をあげるのか。これが大きな課題となったのである。
 
 ところで、ごくたまには勉強から離れたくなる。しかし、そんな時間はない。そのような時は勉強のようではない勉強方法を試みるのがよろしかろう。その方法とは、雑誌を読むのである。昨日、ブルータスという雑誌が建築特集を組んでいるのを発見して購入した。なかなか良い構成である。日本と馴染みの深い建築家とともに、代表作が掲載してある。息抜きにはぴったりなのである。そこでみなさんにも紹介しておきたい。雑誌なのでそれほど金額もはらない。おすすめなのである。

ちなみにKindle版もあるが、やはり雑誌は紙がおすすめ、である。

BRUTUS(ブルータス) 2017年 7/15号[建築を楽しむ教科書]

BRUTUS(ブルータス) 2017年 7/15号[建築を楽しむ教科書]

 

 

 

1級建築施工管理技術検定試験を受験してきました

 今年度は3回目となる一級建築士試験の受験。当然、昨年とやり方を変えて、「法規」と「施工」を強化科目とすることは以前に当ブログでお伝えした通りである。そして、「施工」の強化策として「1級建築施工管理技術検定試験試験」の受験をすることにした。
 昨日その試験を受験してきたので報告する。あくまでも散文的に。
 
1.少し寝坊したが十分間に合った。ふぅ~
 
 今朝は8時に目を覚ました。一瞬で目が覚めた。なぜなら、本当は7時に起きてゆっくりと試験会場に向かう予定だったからだ。どうやらいつも枕元に置いてあるアラームのスイッチが運悪く切れていたようだ。
「あー、マズイなぁ」とか言いながらそそくさと準備にかかる。
 それでも十分間に合う程度の遅れなのである。30分で支度をして、向かうのは上智大学四谷キャンパスだ。JR中央線四ツ谷駅が最寄駅、そこに到着したのは9時半であった。駅から上智大学に入るまでの間にスーツを着て冊子を配る人に出会う。日建学院と総合資格学院の面々である。それぞれ直前チェック問題付きの勧誘ビラを配っているのだ。
 
2.やはり総合資格学院のほうが何かと良いようだ
 
 こういうビラはどんどんもらうべきだ。それは、以前同様のビラに載っていた問題と同じ問題がたまたま試験に出たことがあった経験からである。さて、そのチェック問題であるが、資格学校の違いが如実に表れていたので、今回紹介したい。最初に結論から述べると、総合資格のほうが実によくできている。法令集もそうであるが、日建学院と総合資格を比較すると、総合資格のほうがどうも質が良いのである。では実際のチェック問題を見てみよう。

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 どちらがどちらか、というと、一般の4択問題形式になっているのが「日建学院」、そして、一覧表を多用しているのが「総合資格」である。直前にチェックしたいのは実際の問題ではない。とにかく寸法や数量などの数値なのである。直前に文章を読むよりは、一覧表を見たほうがよっぽど短時間に多くの情報を得られるわけだ。逆に、直前に1問分の設問を読んだところで、ほとんど効果はないに等しいと思う。
 
3.建築施工管理技術検定試験と建築士試験との違いとは
 
 ここで、1級建築施工管理技術検定試験の概要を説明しておく。みなさんには一級建築士の学科試験と比較するのが最もわかりやすいと思う。簡単に説明すると、この試験は一級建築士学科試験の「計画」「環境・設備」「法規」「構造」の4科目の問題数を10分の1に圧縮して前半の設問とし、同じく一級建築士学科試験の「施工」の問題数を2倍にして後半の設問とした感じである。「施工」以外の設問は一級建築士試験に比較して難易度を下げている。しかし、「施工」関連の設問の難易度はそれほど変わらないか、むしろ難易度が高いと思われる部分もある。
 全般の難易度は一級建築士と比較した場合50%程度と思われる。この比較の根拠は極めて主観的であるが、一級建築士の学科を合格するために必要な勉強時間を1とするなら、1級建築施工管理技術検定試験に合格するための勉強時間はその半分で済むだろうということである。しかし、実際にはもう少し低めかもしれない。
 この試験の難易度が低い理由は決して個々の設問のレベルが低いからというわけではない。まず合格のための正答率が60%である(一級建築士は正答率70%前後)。そして、全問に回答するのではなく、回答する設問を選択できることが挙げられる。
 
 そういうわけであるから、みなさんには是非ともこの1級建築施工管理技術検定試験を同時に受験することをお勧めしたい。もちろん、今年はもう間に合わないので、来年度の話である
 はっきり申し上げて、一級建築士の受験対策を十分していれば、特別に1級建築施工管理技術検定試験の対策をしなくとも学科試験は合格可能であろう。実地(二次)試験があるので、そちらに対しては個別の対策が必要かもしれない。それでも、一級建築士の受験対策中にこの資格試験を受験したほうが、より効率的であることは間違いないと思う。

「ひらかれる建築」松村秀一著、ちくまプリマー新書

 一般に資格を取得しようとするときに肝になるのはその分野に対する興味であると、私自身は考えている。これがなければ、学習に対するモチベーションが下がり、結果的にレベルアップが相当に難くなる。モチベーションを上げるためには、いま学習しようとしていることが社会にどのように役立つのかを知ることが必要だ。そのため、私自身は建築に関する書籍をできるだけ読むようにしている。その中で、これは秀逸だと思ったものを今回は紹介したい。

 「ひらかれる建築」(松村秀一、ちくま新書)がそれだ。これまで、伊東豊雄や隈健吾の書籍を読んだが、それとは一味違う。言ってみれば、私たちの生活とリンクした建築の在り方を語っているのだ。

 
 隈健吾は「負ける建築」で、建物がそのデザインにより主張するのではなく、人々の暮らしに溶け込むべきであると述べた。一見「ひらかれる建築」と同じ提案に思えるが、明らかに違うのはその建築が新築か既存の建物かという違いだ。「ひらかれる建築」では、現在の居住空間としての空間資源が潤沢となっている中で、これらの資源をいかに活用していくべきかに重点を置いている。

149ページ

 次にかつて、「「ウサギ小屋」等と揶揄されたような狭すぎるものが多くを占めているのではないか?」という疑問について。そもそも一戸の住宅に住む世帯の人数が年々少なくなっているのだから、かつて当たり前だった4人5人の家族が住むのに手狭だった「箱」も、一人世帯や二人世帯の増えた今日では全く手狭でないという状況がある。厚生労働省国民生活基礎調査によると、1953年5人だった平均世帯人員は、2013年には2.51人になっている。また、1953年には最も多かったのは6人以上の世帯、次いで5人世帯だったが、年とともに世帯は縮小し、2013年には二人世帯と一人世帯が圧倒的で、その二種で過半を占めるに至っている。 

 ここで松村秀一が言及している通り、人口減少が進んだ現在では空間資源が潤沢となり、さらに空き家問題として発展している。戸建て住宅の視点から見ると、空き家対策が重要となるが、現在でも戸数が増え続ける共同住宅の老朽化問題はさらに深刻である。戦前の長屋と異なり、マンションというのは戦後日本が個人主義へ傾倒する中で普及してきた居住環境であり、制度化によるコミュニティの形成が必要な状態なのである。しかし、制度化が実現する前に、建築物としてのマンション老朽化が進み、さらにはコミュニティとしての管理組合の高齢化が進行している。結果、マンションコミュニティでは、もともとの無関心に、老齢化に伴う被支援者の増加が重なり、にっちもさっちもいかない状態になりつつある。建築物としてのマンションが内包する一戸一個の住戸が孤立した状態なのである。実はこの問題に対しては、国交省がすでに対策を検討している。

 
 私もマンションの住民であり、まさにマンション運営上の問題や、建築的な老朽化の問題の当事者である。そこで、現在住まうマンションで行われた大規模修繕工事の修繕委員を買って出た。このときに一級建築士の受験により得た知識は大いに役立っている。
 このように、一級建築士資格取得は、その知識をベースとして実質的に近隣住民のためにその知識を役立てることが可能となるのだ。しかし、どれだけ小さな仕事やあるいは社会貢献であってもやはり信頼という名のニーズはついて回る。弁護士などと同じ士業である建築士は、技術的信頼性と社会的信頼性を兼ねているのである。だからこそ、私は今時間があるうちに、一級建築士を取得しようとしているのであった。
 
 最後に、建築家の今後について、松村秀一氏が「ひらかれる建築」の中で言及しているページを紹介して締めくくりたい。

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 第三世代の民主化の時代、そこでは新たに建物を造ることから、既にある空間資源を利用して暮らしや仕事の「場」を造ることに重心が移る。主役は生活者である。とすると、私のように建築を専門としてきた者は、自身の役割をどのように自覚すれば良いのだろうか。建築界が職能と呼んできたものが大きく見直しを迫られているだろうことは、多くの人の感じているところだと思うが、見直し、転換の先が見通せない。ただ、第二世代の民主化、脱近代の時代に現れた言説の中には、いまだからこそ政治的な意図等とは無縁に援用できるものが多くあり、それを手掛かりに少しでも見通しを良くすることができると、私は考えている。

 もし、この本をすでに読んでいるならお気づきだと思うが、この本にはマンションに関することは殆ど書かれていない。実はこの本の著者である松村秀一氏は、既に2001年に「団地再生」という書籍を著している。おそらく集合上宅における空間資源の問題はすでに言及済みであり、「ひらかれる建築」ではそのスコープを社会そのもの、そして時代に適用しているようだ。

 

ひらかれる建築: 「民主化」の作法 (ちくま新書 1214)

ひらかれる建築: 「民主化」の作法 (ちくま新書 1214)

 

 

負ける建築

負ける建築

 

 

25.弱点補強計画、次は「施工」

 前回そしてその前回と法令集に関する記事を書いてきた。しかし、今回は施工に関する記事を書く。とにかく、これまでの受験の結果、法規と施工が自分の弱点であることが分かったのであるから、今年度はこれを克服するしかないのである。
 そこで、施工克服のための秘策を紹介する。それは……
●一級建築施工管理技術士の資格を取得する「(-.-)
 実際のはこれは昨年度も実施しようとしていたが、やはり試験日程が一級建築士試験と微妙に重なるために避けてきたものだ。
 
たとえば昨年度の場合
       学科試験    実地(製図)試験
 合格発表  7月22日(金) 2月3日(金)
 合格発表  9月6日(火)  12月15日(木)
 
 さて、問題は二次試験、つまり施工管理技士の場合の実地試験と一級建築士の製図試験の日程がほぼ重なっている点である。かりに、両方の学科試験に合格した場合は、おそらく製図試験を捨てる覚悟が必要かもしれない。そもそも、合格する確率が高いものを優先するのが常道である。一級建築士の製図試験については、翌年じっくりとお金と時間をかけて受験するしかないであろう。
 もしかすると、皆さんにとってはこの計画が無謀に思えるかもしれない。しかし、独学で一級建築士資格を取得するには普通の学習方法で太刀打ちしようなどと考えないほうがいいいと、最近は考えるようになった。なにしろ、他の資格試験とは異なり、明らかに過去問の学習だけでは不足なのである。かりに、過去問学習だけで学科試験を取得するなら、おそらく7年分のすべての過去問に対して90%の正答率を確保する必要があるだろう。
 そして、昨年の試験では過去の問題にはない新たな設問が多数加わっている。かつ、法規は改定が多く、これも多くの学科試験問題にかかわってくるのだ。
 
 とにかく、今年は法規と施工の2科目を重点的に習得する予定である。ちなみに「一級建築施工管理技術士」の申し込みは今週中なのである(2月3日から2月17日)。

 

1級建築施工管理技士 学科問題解説集 平成29年度版

1級建築施工管理技士 学科問題解説集 平成29年度版