一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

10.設計製図の肝を味わう

 実は、2月から学科試験の学習を始めようと思っている。それまでは、製図の練習を続ける予定だ。
 昨年の学科試験が7月に終了後、8月から製図道具と参考書を購入し、製図のトレーニングをしてきた。製図のトレーニングは最初のうちはとにかくトレースをしまくった。その後10月ごろからプランニングを含めてトレーニングを積んできたわけだが、ここにきてプランニングの難しさを思い知るようになった。

 

 それは、設計条件を満たすプラン作成の難しさにある。
 平成24年の過去問を解いていみた。一見プランはすんなり収まったのだが、実際にトレースして図面が仕上がった後に気づいた。設計条件では「地階を除く面積の合計が1800㎡~2200㎡であること」とあったのだが、私はこの時、地階を含めて2000㎡に設定してしまったのだ。
 そして、平成25年の過去問を解いているときは、エスキースの完成手前で、プランが建ぺい率を超えていることに気づいた。もしも、これが実際の試験であれば致命的である。なにしろ、面積条件を満たさないプランは即刻不合格なのである。
 
 しかし、プランニングは結構楽しい。色々な思いを巡らせて、自分の理想とする建築物を設計するのは、やはりそれが実現しなかったとしても創作意欲を掻き立ててくれる。人は旅行を計画しているときが一番楽しいというが、全くその通りなのである。
 私はもともと設計をやっていたのだが、その後プログラマーに転身した。製図試験をプログラミングに例えるなら、エスキースと基本設計が同じものといえる。
 昔のプログラマーはアルゴリズムを考えてフローチャートを描いていた。つまり手続きの流れ図を描くのである。フローチャートから実際のコーディング、つまりプログラム言語に落とし込む作業が、製図のトレース作業に近い。言語に落とし込めば実際にプログラムは動作し、画面に表示され、実態として作用するのだ。
 ここでもやはり、アルゴリズムを考えている方が楽しい。楽しいと感じるおは、そこにはまだ可能性の余地が残されているせいだと思う。
 
 ところで、今回2度も続いた私の失敗は、いわばこの論理設計の部分で手順を無視したことにある。「製図試験のウラ指導」で紹介されていた手順の通りにプランを作成しているのだが、どうしてもプランを練る時にコマ数(スパン割りによる一区画の数)を無視してしまっているのだ。つまり、ゾーニングを行う段階で、理想的な配置を考えすぎて、配置をずらしてしまうのである。この時に、設定したコマ数を守っていなければならない。「ウラ指導」のテキストを読みながらプランニングをしていた時は正しく面積を設定できた。しかし、何も見ずにプランニングをすると、どこかで間違ってしまうのである。
 プログラムのアルゴリズムやコーディングのミスは、実際にそのモジュールを動作させるとたちどころに分かる。しかし、製図設計ではそうはいかない。よほど注意して、実際の条件とエスキースとを照らし合わせなけらば、ミスは発見しにくい。そして、プランをトレースして完成した後では、修正にはとてつもなく労力がかかるのである。まして、実際にそのプランが形があるものとして建築されてからでは、ほぼ修正は不可能だ。これが、プログラム作成と設計との大きな違いではないだろうか。
 
 1月も残すところあとわずかしかない。今月中に、何とかエスキースを短時間にさらりと、しかも的確に起こせるようになりたいものである。