一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

15.たぶんだれもがやっていないVR学習法のススメ

 総合資格学院の一級建築士厳選問題集を始めてから1週間ほどになる。現在は「環境・設備」を学習している。
 環境・設備は想像力が試される科目だ。前半に登場する日影などは特にそうである。例えば、バルコニーの日照時間を問う問題があった。
 

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 マンションバルコニーの奥行Dと手すりの高さL、バルコニー天井の高さHにより、バルコニーと室内との境界線上にある点Pの日照時間を問う問題である。この手の問題は一度原理を理解すればすぐに解けるようになる。しかし、原理を理解するためには想像力が必要だ。
 問題集のページには日影曲線と共に、バルコニーの図が描かれている。日影曲線は、地表に鉛直に立てた棒の先端の影の軌跡である。しかし、バルコニーの手すりが板状であるため、時間による影の変化と日影曲線との関連がつかみにくい。
 こういう時にはスケールを変えて検討してみる。まず、地球をバレーボール程度まで縮小する(もちろん頭の中で想像するだけだが)。そのボールを、よくバスケットボールの選手がやるように、指に載せて廻す(これは頭の中で想像するのではなく、実際にやってもらってよい)。この回転が地球の自転である。そして、北緯35度のあたりに棒をたてる。ボールの表面に垂直に立てるのだ。そして、もう一度ボールを指の上で回す。すると、立てた棒の軌跡が見えるはずだ。その軌跡を一枚の板に変えよう。ちょうどボールにつば付きの帽子を被せたように見えるはずだ。

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Made with Paper / fiftythree.com

 この帽子をかぶったように見えるボールを真横から見たとき、つばの高さは端から端まで同じに見える。太陽から見た地球は、春分と秋分のときこのように見える。そして、夏至の時に地球はうつむき加減になり、冬至の時は上を向いている。球体の表面のうち、帽子のつばに隠れて太陽から見えない部分に影ができる。もちろんスケールが大きく違うので厳密に一致するわけではないが、地表の影のでき方は感覚的に理解できると思う。
 
 問題集の問題を解こうとするとき、私はこんなことを頭で想像しながら解いている。しかし、頭の中に想像したことを実際に絵にしないと、どうも落ち着きが悪い。当然ながら問題用紙に色々と絵を描きながら解いている。そうすることで、解答を暗記するだけではなく、回答のプロセスを定着させるのだ。
 ところが、練習問題を解いた後、実に不都合なことが起きる。一度設問ページにアンダーラインを引いたり、○×を書いたり、まして絵を描いてしまうと、その問題集が使えなくなってしまうのだ。だから、昨年度は過去問集を3冊買ってしまった。問題集を繰り返し使うためには、ページをコピーして使う、あるいは書いた部分を消しゴムで消す、などといったことで対処できるのだが、いずれも手間やコストがかかってしまう。そこで思いついたのが、時間がたつと消えるペンを使う方法である。これこそが私が考えた「VR学習法」なのである。ちなみに、VRはVisual Repeatの略である。
 
 さて、ちょっと大げさな表現になったが、要するに、消えるペンを使って問題用紙に好きなだけ書き込みをしよう、そして、問題用紙を新品の状態で、何回も繰り返し使おう、ということだ。ところで、時間がたつと消えるペンなど存在するのだろうか。いろいろ探してみると、時間がたつと消えるペンはその用途により2種類存在することが分かった。
 
 ひとつは、建設現場の墨だしなどに使うものだ。その名を「消えーるペン」という。もう一つはチャコペンというやつで、こちらは手芸などに使うらしい。どちらも用途は学習用ではなく極めて実務的な事情から作られている。よって、普通の文房具店などには置いていないようだ。今回はネットで購入したのだがいずれも送料の方が高くつくくらいの値段なので3本を購入した。
1.消えーるペン(紫)
 消える時間の長さにより、ピンク、紫、白、の三種類がある。両端に細書き用と太書き用のペン先があり、太書き用はペン先がマーカーと同じ形状になっている。今回は紫を買って使ってみた。1日間でかなり色が薄くなるが完全には消えない。完全に消えるにはやはり5日~14日必要になりそうだ。全問解答後に答え合わせをする過去問を解く場合は、こちらのペンを使う必要がありそうだ。
2.チャコエースⅡ(紫)
 こちらは、消える時間の長さによりピンクと紫がある。紫の方が遅く消える。包装には約2日~14日で消えると書いてあるが、1時間ほどで色が霞んできて、半日でほぼ見えなくなる。おそらく2日~14日というのは完全に消えるまでの期間を言っているのだろう。その場で回答を確認する問題集の場合は、このペンがよさそうである。両端にペン先があり、細い方は極細、太い方は普通のサインペン程度の太さである。
3.チャコエースⅡ(ピンク)
 これは書いたそばから色が消えていくのが分かる。30分ほどたつと文字の場合は読めなくなるくらいに色が薄くなる。あまり実用的ではなさそうだ。

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 どのペンも、水に濡らすことですぐに消すことができる。また、書いた紙質により消える時間は異なるようだ。

 
 実際使ってみた感想を述べる。このペンを購入する前は、問題文にアンダーラインを引いたり、図を書くのを我慢していたし、選択肢に○×△を書くにしてもごく薄く書いていた。これは結構ストレスになる。やはり本番同様に問題ページには書き込みをしたいものである。
 昨日、チャコエース(紫)を使って問題を解いてみた。気兼ねなく文中のポイントを丸で囲んだり、図に補助線を引けるので、解答する時間が短縮できる。現在はその20時間後である。昨日記入した部分はよく見るとうっすらと跡が残っているのが分かる。このレベルでも繰り返し学習には支障がないと思われるが、あと数日したら完全に消えるのだろう。
 
 実は、Amazonで消えるペンを探していたところ、学習用途の消えるペンが販売されていた。しかし、こちらは入荷未定となっている。学習用のペンとしては、あまり売れなかったのだろうか。VR学習法の普及にはまだまだ時間がかかりそうだ。
たくみ 消え~るペン 紫       NO.7711

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アドガー チャコエースII・紫

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