一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

17.暗記するべきか、ページを開くべきか?

 建築法規は苦手なのである。そこで、なぜ苦手に思えるのか、ふと立ち止まり考えてみた。考えてみると理由は結構簡単だった。法規の学習をどのように進めたら良いのか判然としないのだ。
 過去にネットで読んだ合格体験記などによると、建築法規の試験科目は高得点を狙いやすいのだそうだ。  
「それって、要するに建築法令集を持ち込めるから、ということなの?。でも、いちいち法令集を引いていたら時間がなくなるから、結局暗記に頼るしかないんじゃないの?」といった疑問が湧きがある。こう考えると、二つの勉強法が考えられる。まずは徹底的に法規を暗記して、試験中はあまり法令集を開かずに解く方法。もう一つは、法令集のインデクスを完璧にして、本番中は素早く該当する条文を読み確実に正解を取り出す方法。
 いったいどちらの方法が良いのだろうか。私は現在、分野別の学習を開始していて、ちょうど法規の部分をこなしている最中である。なかなか学習は思うように進まない。とにかく、いちいち法令集を引くには時間がかかるのだ。どうにも非効率に思えて仕方がないのである。
 そこで、二つの対策を考えた。というより、逃げ道を作った。私の楽しみは読書なのだが、現在は受験のために読書を絶っている。その上で、日々建築法規の学習を進めていたのだが、どうも進み具合が良くない。いっそのこと、読書を再開することにした。しかし、ここで読書を単なる楽しみにしたのではもったいない。そこで、一級建築士受験に関する本を読むことにした。
書店に行くと、目に留まったのは次の2冊だ。
 
1.合格者たちの勉強法
 一級建築士試験の学習法を綴った本である。学習に関する方法論と、試験時のテクニックについて書かれている。法規の受験本番テクニックは、一通り全問を回答してから、不明な部分のみ建築法令集を引くと書いている。さらに日々の学習方法論としては、出題者の意図を汲み取りながら回答せよということらしい。
 
2.ゼロからはじめる建築の「法規」入門

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 こちらは、法令の意図するところをイラスト付きで解説する本である。従来から法規の問題を解くたびに「なんで200㎡以上に適用される?、道路の下に建造物を築造していいなんて、おかしいじゃん?」といった疑問に対する解説が1ページごとにQ&A形式で書いてある。実は私が欲していたのはまさにこの本である。ちなみに、右のページ例では分かりやすくするために色分けしているが、実際は白黒刷りである。
 
 つまり、私は建築法規の学習方法を、その全体像として理解したかった。その回答が1冊目の本には書いてある。そして、建築法規の条文一つひとつに対する疑問の答えを見つけるのが、2冊目の本である。
 実は今、丁度学習の中だるみの時期を迎えている。ここで焦っても仕方がなないので、少し脇道に逸れて、この2冊の本を読むことにしたのである。
 
 ところで、私が学習方法にこだわるのは理由がある。以前、簿記二級の試験を受けて6回落とした経験があるからだ。簿記二級の学習方法にはなぜかパターン化神話のようなものがあって、解き方のパターンを覚えれば楽勝、みたいな雰囲気があった。私はこの雰囲気に飲まれて、過去問をパターン化して解けば簡単に受かると思い込んでいたのだ。しかし現実は厳しい。やはりどんな資格試験にも基礎力は必要なのだ。簿記二級の試験で誤ったのは、簿記三級の基礎的学習を怠ったからだった。
 簿記はその名の通り、企業活動を金銭で表す手法である。そこには体系づけられた帳簿組織というものがあり、ある意味独特のルールがあったのだ。このルールを無視していては、どんなに勘定科目の意味を理解しても解けない問題がある。そのことに気づいたのは、4回試験に落ちた後だったのだ。何とも時間を無駄にしたものである。しかし、このことに気づいたおかげで、簿記の理論以上に重要だと思われる実務的なルールを理解できた。
 思うに、多くの資格試験はその技術に関する実務能力を試すものだ。よく簿記二級をわずか2週間の勉強で一発合格したなどのブログ記事を目にする。そのような記事を読むと、学習の方法やテクニックを理解すれば自分も短期間で簿記二級の試験に合格すると錯覚してしまうのだが、おそらくそうではない。やはり実務経験という下地があって初めて短期学習で合格できるのだと思う。
 一級建築士もやはり実務経験が必要なのだ。それを学習だけでカバーするなら、やはりそれなりに時間を割かなければならない。二冊の本を読みながら、そう思い直したのである。

 

一級建築士受験 合格者たちの勉強法

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ゼロからはじめる建築の「法規」入門

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