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一級建築士資格独学散歩道

一級建築士資格取得までの道のりを散文的に綴ります。

24.法令集アンダーライン引きの楽しみ方

 前回に引き続き、法令集に関することである。

 現在でもまだ、昨年使用していたオレンジ本(日建学院版法令集)のアンダーラインを緑本に(総合資格版法令集)転記する作業中である。全1,000ページのうちの先頭200ページ、全体の約2割を占める建築基準法の転記作業がやっと終了した。まだ先は長いのであるが、実は二つの発見をした。

 

1.緑本が有利な理由を発見
 以前のこのブログ記事で外形的なオレンジ本と緑本との違いを解説した。そのときには気が付かなかった違いがある。それは、条文の末尾に追加されている参照先の記載である。少々わかりにくいので、建築基準法第99条第1項1の場合を例として説明する(便宜上、本文カッコ内の文を省略している)。

◆オレンジ本の場合

第99条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第6条第1項、第7条の6第1項又は第68条の19第2項の規定に違反した者

緑本の場合

第99条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第6条第1項、第7条の6第1項又は第68条の19第2項の規定に違反した者
    ●法6条1項(建築の申請・確認)→22

 緑本では、第6条第1項の参照先をその概要とともに追加している。一方でオレンジ本では参照先の記入がない。これは、オレンジ本のほうが参照先記入の数が少ないということではない。その条文など参照先を追加する基準が異なっているのである。

 ここで注目したいのは、オレンジ本では第99条を読んだだけではどのような規定違反があった場合の罰則規定なのかがわからないということだ。これを確認するには、実際に第6条が書いてあるページを開く必要がある。しかし、緑本の場合は、確認申請に関する規定違反の場合であることが、大方予測がつくのである。
 オレンジ本も緑本もその参照先の記載の数を比較するなら、おそらくは同程度だと思われる。ただ、オレンジ本の場合は参照先の条文の概要(括弧書きの内容)までは記載されていない。この差は使い勝手に大きく響いてくるだろうと思われるのである。8割が緑本購入するという事実を鑑みれば「みんなの意見は案外正しい」のである。

※『「みんなの意見」は案外正しい』はジェームズ・スロウィッキー2004年の著作。今ならアマゾンの電子書籍で400円ほどで購入できる。

 

2.何が改定されたかを知る

 アンダーラインを引いていると、その個所の周辺の文にちがいを見出すことができる。今回は建築基準法の別表2にちょっとした違いを発見した。この違いの発見に対して、いろいろと妄想を膨らませるのは一級建築士を受験する者の特権である。その違いからは「国交省がナイトクラブの扱いを見直した」というストーリーを創作できそうである。

 おなじみ建築基準法別表第2は、用途地域内の建築制限である。用途区分を示す記号(い)から(は)までは、いわゆるホワイトリスト形式、そして、(に)から(わ)まではブラックリスト形式で書かれている。
 今年度の別表2は、以下の変更が加えれていた。

(へ)第二種住居地域内に建築してはならない建築物
昨年→三 劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場
今年→三 劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場又はナイトクラブその他のこれに類する政令で定めるもの

さて、このナイトクラブなるものは、以前はどこの用途地域で制限されていたかというと

(ち)近隣商業地域内に建築してはならない建築物
 二 キャバレー、料理店、ナイトクラブその他これらに類するもの

である。これを見てわかる通り、ナイトクラブは昨年まではキャバレーその他に類するものであったものが、今年は劇場、映画館などに類するものとして、より文化的な色彩の濃いグループに仲間入りしたのである。

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 では、ナイトクラブはその用途地域の勢力圏を拡大したのであろうか。去年までは近隣商業地域には建築できなかったナイトクラブは、今年からは建築できるようになった。そしてさらに、準住居地域にも建築できるようになったのである。

 ところで、ナイトクラブとは何か。おそらく明確な定義がないのは、1980年代に台頭したキャバクラの存在のせいではないか。キャバレーとクラブの中間に位置するキャバクラの勢力圏拡大により、おそらくナイトクラブの存在がそちらに引き込まれることなく、会員制、深夜営業、飲食免許によるカテゴリに属する、よりハイ・ソサイエティな存在としての生き残りをかける必要が生じたのではないかと思われる。あるいは、平均貯蓄金額が2,000万円近いと言われる高齢者を主要顧客とするためかもしれない。

 もともとクラブは会員制の社交場のことを指すのだから、政府がそこに新たな国策として業態を見出そうとしていたとしても、少しも不思議ではない。仮にこれをシルバークラブと呼ぶことにする。そして、そのクラブには必ず長寿の酒がおいてあり、そしてなぜか近隣には病院が併設されているのである。店員はすべて白衣を着ているかもしくは看護師の服装である。しかし、もしかするとこのようなクラブは既に存在しているのではないか。早速、調査を要する事案が発生したのである。

 

※追記

ナイトクラブに類する用途が、施行令第130条の9の2に追加されています。